ベス単フード外しを求めて

カメラ機材

塩谷定好さんの写真に魅せられて。
私もあんな写真を撮りたいとあこがれ、「ベス単フード外し」が楽しめるレンズを手に入れました。

下の6枚の画像は、まず試しに撮ったものです。

そもそもベス単とはなんぞや?

およそ100年近く昔に、アメリカのイーストマン・コダック社から発売されたカメラ「ベスト・ポケット・コダック」。これには様々なモデルがありますが、中でも、単玉レンズのものが『ベス単』と呼ばれています。
で、そのレンズ前側にねじ込まれてる、絞り兼用の「フード」をはずすと、特有のぼけ味を生かした描写が得られるのです。これが「ベス単フード外し」と称されたとのこと。

下は、今回手に入れたレンズの、フードをつけた状態と外した状態の画像です。つけた状態ですと、開放でもあまりぼけません。

フードをつけた状態のレンズと、サンプル画像

フードを外した状態のレンズと、サンプル画像

写真家・塩谷定好さん

塩谷定好(1899~1988)は鳥取県出身の写真家。山陰地方の自然や人々を生涯にわたって撮り続け、芸術写真の分野で海外でも高く評価されていると聞きます。
ベス単を愛用し、ベス単フード外しで多くの写真を撮っておられます。
詳しくは、ぜひ、塩谷定好写真記念館のプロフィールページをご覧ください。ギャラリーページではいくつか作品を見ることができます。

塩谷定好写真記念館の外観

温度の感じる写真との出会い

私が初めて塩谷さんの写真に出会ったのは、たしかどこか美術館の展覧会だったかと。まるで印象派の絵画のようにも見え、こんな表現があるのかと驚きました。
なにより、あたたかな「温度」を強く感じたのを覚えています。

ベス単フード外しを、今やってみよう

そんな尊敬する郷土の写真家のように、私も撮ってみたい。そんな思いが胸の内にありましたが、いかんせん100年前のカメラ。難しいだろうと思っていました。
しかしいろいろ調べていると、レンズ部分だけ取り外して改造すれば、私のデジタル一眼レフ「PENTAX K-3 Mark III」にも取り付けられるとのこと!(気づかなかったのですが、塩谷定好写真記念館にも改造レンズが展示されてるそう)

ベス単レンズ探しの荒波に漕ぎ出す

さぁ、テンションが上がってまいりました!
その改造レンズをどう入手すればよいか見てみると、3つの方法がありました。

  • PENTAX Kマウント用に改造されたレンズそのものを手に入れる
  • 他マウント用に改造されたレンズを手に入れ、Kマウント変換アダプターをつける
  • パーツを別々に仕入れ、自分で改造する

検索してみると、何個もベス単がヒット!意外と簡単に手に入る?…わけではありませんでした。

それは本当に「ベス単」か?

ベス単自体はオークションサイトなどで出品されてるのですが、購入前にひとつ気をつけたことがあります。
「ベス単フード外し」にこだわるのであれば、「ベスト・ポケット・コダック」の中でも単玉レンズ(ここでは1群2枚のメニスカス・アクロマチック)を入手したいところ。
しかし、出品タイトルや説明文に「ベス単」とあっても、よく見るとレンズが単玉ではないモノがわりと出品されてます。例えば、4群4枚のコダック・アナスチグマットだったり。

ちなみに単玉以外がダメと言ってるわけではありません。それぞれに味ある写真が撮れると思います。ですが今回は候補外です。

ではどう見分けるか。

まず、「ベスト・ポケット・コダック」のモデルの違いが写真で解説されている書籍『愛されるベス単(現代カメラ新書 29)』を入手しました。
これは各モデルの解説だけでなく、その歴史や日本でのいわゆる「ベス単派」のことも書かれており、読み物としてかなりおもしろかったです。口絵作品の中には、塩谷定好さんの写真も載っていますね。おすすめです。

こちらもオークションサイトなどで出品されることがあります。

どこでベス単レンズを探す?

私の場合は、オークションサイトやフリマサイトなどで、カテゴリをカメラにして「ベス単」「vest pocket kodak」「ベスト ポケット コダック」「ベス単フード外し」等で検索をかけました。
さらに、カメラ店のサイトに行って検索したり、近隣のカメラ店やリサイクルショップを巡って探しました。

いざ本腰を入れて探し始めると、難航…

あまり手間をかけたくないので、Kマウントに改造済みのものが欲しいのですが、Kマウントの改造レンズがオークションサイトやフリマサイトには皆無。
ではKマウントではなく、他マウントはどうかといえば、「ベス単」と書いてあるものの、なんとすべて単玉ではなかった…。

最終手段。パーツを別々に仕入れて自分で改造するのはどうか?
ベス単レンズに、
・ヘリコイド接写リングK
・顕微鏡レンズ用のKマウント変換アダプター
を組み合わせると加工なしでいけるのですが、どちらも製造終了品。
特に、顕微鏡レンズの変換アダプターのほうは入手が極めて困難。いやまぁ、代わりに「ボディマウントキャップ」に19mmの穴をあければいいんですけどね。

今回は結局どうしたか

運良く、あるカメラ店で、「ヘリコイド接写リングK」と「顕微鏡レンズ用のKマウント変換アダプター」を組み合わせたベス単改造レンズが売られていたのに出会い、購入に至りました。巡り合わせに感謝です。

ただ、レンズに曇りやチリがあり、少々不満が。
いずれ程度の良いベス単レンズに出会えたら、ボディマウントキャップ加工に挑戦してみたいとひそかに思っています。

次回は、手に入れた改造レンズの、各サイズやちょっとした改良を紹介できたらと思います。

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